03.『フロイト思想を読む』
『フロイト思想を読む』(NHKブックス)が刊行しました(竹田青嗣・山竹伸二共著)
竹田青嗣さんとの共著『フロイト思想を読む』が、やっと刊行しました。この本の内容は朝日カルチャーセンター横浜の講座「フロイト完全解読」がもとになっていますが、これは竹田さんと共同で行なった講座で、現象学の観点からフロイト理論の本質を取り出すことを試みたものでした。最大の焦点は「無意識」をどう考えるか、という点にありましたが、これがなかなかやっかいな問題であることは、容易に想像していただけると思います。
そもそも現代思想においては、現象学では「無意識」を扱わない、したがって精神分析や深層心理学とは理論的に相容れない、と考えられてきました。しかし実際には、現象学こそ無意識の謎を解明する最良の思考方法なのです。また、フロイトのエディプス・コンプレックスや超自我といった無意識以外の概念も、現象学の観点からその本質を明らかにすることができますし、これによって、フロイト思想が優れた人間論であることが見えてきます。
フロイトが精神分析を創始して一世紀あまりが経過し、心理学や精神医学の世界では、フロイトは古典に属する理論で、もはや現代では通用しないという見解も少なくありません。しかし、フロイト理論は人間存在の本質を鋭く捉えており、その人間論は時代を超えた普遍性を有しているのです。
【本書の構成】
序章 人間思想としてのフロイト(竹田青嗣著)
1章 フロイト思想の全体像(山竹伸二著)
2章 認識対象の本質論(竹田青嗣著)
3章 無意識論(山竹伸二著)
4章 エロス論(山竹伸二著)
5章 自我論(山竹伸二著)
6章 「無意識」とは何か(竹田青嗣著)
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